日本臨床細胞学会雑誌
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気管支原発早期扁平上皮癌の細胞診断学的検討
斎藤 泰紀今井 督薄田 勝男菅間 敬治佐川 元保永元 則義佐藤 雅美須田 秀一橋本 邦久仲田 祐佐藤 博俊中嶋 隆一郎近 京子金子 泉佐々木 繁子
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1985 年 24 巻 4 号 p. 686-698

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抄録
喀痰細胞診により発見し切除した, 気管支原発早期扁平上皮癌25例の喀痰細胞所見について検討した. 全例胸部X線写真上無所見で, 4例は上皮内癌, 21例は浸潤が気管支壁内に限局していた.浸潤の著明な11例, および喀痰細胞診疑陽性で扁平上皮癌の発見されない境界症例12例と所見を対比し, 計量可能な所見については数量的に扱った.
その結果, 早期扁平上皮癌においては, 異様な形の扁平上皮癌細胞は少なく, 細胞異型は概して軽度で, 扁平上皮化生細胞と鑑別困難な異型細胞も少なからず出現していた. 全体として, 小型類円型のオレンジGに好染するN/C比のやや高いものから, 多辺形でやや大型のオレンジGに淡染するN/C比の低いものまで, 角化した異型細胞が優勢で, ライトグリーン好性のいわゆる旁基底型細胞は少なかった. また, 多核細胞の出現が目立った.
これらの細胞所見に影響を与える因子として, 表層へ向かっての細胞の分化・成熟傾向と, 表面における一部の細胞の変性・膨化・扁平化, および異常な細胞分裂が重要であると考えた.
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