抄録
足部の皮膚・爪病変や足趾変形は若年発生が多いことが指摘されているが,医療機関,教育機関ともに調査報告は少なく不明な点が多い.小学生の足の症状と生活習慣の実態を捉えるため,一般社団法人足育研究会と日本臨床皮膚科医会は協同で,学童と保護者対象のWebアンケートを行った.回答数は575であった.足趾に変形ありとの回答は全体で約20%であり,高学年で増加していた.爪切りを行うのは中高学年で保護者から自分に移行していた.運動不足の児童が過半数を占めた.また過去に行われた調査結果と比較して,本アンケート結果では足趾変形と運動機能異常の割合が低かった.家庭では異常所見が適切に認識されていない可能性があり,正確な調査には学校での定期的な計測が必要と考えた.学童期の運動不足が運動機能の発達不全を招くことは周知の通りであり,足部変形と下肢機能,足趾爪のトラブルが下肢機能低下と連動していることを考えれば,学童から青年期の健全な成長・発達と中高年以降のロコモティブシンドローム予防の観点から,学校保健において運動指導に加えフットケアや靴に関する指導を含む足育を小学校低学年期から行うこと,運動器健診に足部計測を加えることを提言したい.