日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部病変におけるhuman Keratin Protein (hKP) の免疫細胞組織化学的検討
福田 耕一
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1986 年 25 巻 1 号 p. 73-81

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抄録

正常子宮頸部扁平上皮, ならびに頸部異型上皮, 上皮内癌, 浸潤癌 (扁平上皮癌) においてhumanKeratin Protein (hKP) の局在を酵素抗体法を用い細胞組織学的に観察し, その比較検討を行った.
光顕レベルの観察では組織学的に正常子宮頸部扁平上皮は表層から中層にかけてケラチン陽性だが基底層は陰性であった.また円柱上皮においてreserve cellも一部ケラチン陽性を呈した.異型上皮, 上皮内癌では全層モザイク状にケラチン陽性で, 浸潤癌になると不規則な配列の陽性部位が観察された.また細胞標本では正常子宮頸部扁平上皮細胞では細胞質辺縁にケラチン強陽性を呈するものが多く, 異型上皮, 上皮内癌, 浸潤癌では核周辺に強陽性となる傾向が観察された.さらに電顕学的観察では細胞標本で正常頸部扁平上皮細胞の細胞質辺縁を中心にsparseなケラチンのfilamentが観察された.異型上皮細胞ではsparseながら核周辺にfilamentが集まりだし, 上皮内癌では全周性に核周辺にfilamentの規則的集束が観察でき, また浸潤癌では核周辺の規則的filamentの集束はなくなり一部不規則なfilamentの集束が観察できた.以上のことよりケラチンの局在は頸部扁平上皮のmalignant transformationを反映しているといえる.

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