子宮頸癌検診で異型上皮と診断され, follow upが必要とされた症例について多面的に解析し, 以下のような成績を得た.
1.1 972年4月から1984年3月までの12年間に行われた宮城県の子宮頸癌検診において, 総検診者556,091名中, 異型上皮と診断もしくはその存在が疑われたのは2,504名であった.
2. 1,461名の異型上皮についてその予後が追跡できた.その内訳は, regressしたのが1,259例 (86.2%), progressしたのが171例 (11.7%), 異型上皮の段階で治療されたのが31例 (2.1%) であった.
3. 最も長いfollow up期間は10年であった.6年以上の長期follow upを必要とされたのは97例 (6.6%) で, 6年時点での細胞診がclass IIあるいはIIIAを示していたものからのprogress例はなく, class IIIDあるいくはIIIBを示していたもののprogress率は71%と高率であった.これらの成績は, 異型上皮のfollow upを長くても6年以内の期間で終了させうる可能性を示している.