日本臨床細胞学会雑誌
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原発性成人腟肉腫の1例
恩田 威一佐々木 寛寺島 芳輝塩森 由季子春間 節子下田 忠和
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1986 年 25 巻 3 号 p. 534-539

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抄録
症例は41歳女性, 腟前壁に鶏卵大の原発性横紋筋肉腫を認め腟細胞診にて診断し得た1例を報告する.
Papanicolaou標本での腫瘍細胞は, 多くは孤立散在性であるがところどころに数個の細胞集塊をとる.腫瘍細胞は小型と比較的大型細胞がみられ, 小型細胞は, 円形あるいは紡錘形細胞が核クロマチンの増量と不均一な凝集を示し, かつN/C比の増大をみる.一方, 大型細胞では胞体が豊富で核の偏在がみられる丸型あるいは帯状を呈し, これは横紋筋芽細胞に相当する.核の形は円形であるが核縁が不整でやや肥厚し, 核小体の肥大がみられる.PAS染色では陽性の顆粒を認め消化テストにてグリコーゲンと判定された.
組織学的には, 小円形細胞, 紡錘型細胞が網目状に配列し, 間質は粘液腫状であった.円形細胞の一部は大型化し, 核は偏在し豊富な好酸性胞体を有するオタマジャクシ様細胞を認めた.これらの細胞はPAS陽性で豊富なグリコーゲン顆粒を有した横紋筋芽細胞であった.これら細胞は互いに連珠状配列を示し, embryonal typeの横紋筋肉腫と診断された.
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