日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
酵素抗体標本再染色による男子尿道クラミジア感染細胞の研究
大木 昌二岡田 敏之堀内 文男武田 敏
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 26 巻 6 号 p. 974-979

詳細
抄録

男子の非淋菌性尿道炎の原因菌として, クラミジアが注日されているが, その感染細胞像についての報告はほとんどなく, 通常のPapanicolaou染色標本での検出は困難であるといわれている. そこで, われわれは, 尿道炎症状を示す男性患者の尿道擦過標本99例について, Monoclonal抗体によるPAP法を施行し, 脱色後Papanicolaou染色を行い, 陽性例の感染細胞について観察した. PAP法陽性所見を瀰漫性陽性 (D型), 辺縁部陽性 (M型), 限局陽性 (L型) の3つに分類し, Papanicolaou染色所見をlight-green濃染 (A型), light-green淡染 (B型), しみ状hematoxylin弱陽性 (C型) の3つに分類し検索を行った. 結果は, PAP法でL型 (46.0%), D型 (31.2%), M型 (22.8%) の順で出現頻度が高かった, Papanicolaou染色ではA型 (45.6%), B型 (43.5%) がほぼ同率であったが, C型 (10.9%) は頻度は低いが陽性全症例でみられた. PAP法の陽性率は10.1%であった. 年齢は26~40歳台に多くみられた. 男子尿道クラミジア感染細胞は, 子宮頸部にみられるような封入体は認められないが, 今回の検討した結果より, C型 (blot inclusion) の検出がきわめて重要な所見と思われた.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top