日本臨床細胞学会雑誌
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擦過細胞診が有用であった気管支鏡可視範囲外胸部X線写真無所見肺癌の1例
特に擦過細胞所見について
佐川 元保斉藤 泰紀佐藤 雅美永元 則義仲田 祐石木 幹人
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1988 年 27 巻 6 号 p. 968-973

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抄録

擦過細胞診にて局在部位を同定し得た気管支鏡可視範囲外の胸部X線無所見肺癌を経験したので, 細胞所見と腫瘍の局在部位同定に関して報告する.
症例は60歳, 男性で, 住民検診の喀痰細胞診でClass Vの診断を受け当科紹介となった. 胸部X線写真, 断層撮影, CTでは異常なかった. 気管支鏡可視範囲内にも所見はなかった. 鑑別的気管支全支擦過法を施行し, 病変の部位を右下葉と特定したのち, 末梢を意識した擦過を行い, 右B8末梢からライトグリーン好性の癌細胞の集団が繰り返し出現することを確認し, 右下葉切除を施行した. 病理所見では右B8bii末梢に扁平上皮癌が確認された.

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