日本臨床細胞学会雑誌
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脳腫瘍の細胞形態学的検討
藤井 雅彦加藤 一夫石井 保吉佐久間 市朗斎藤 博子高橋 正宜
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1989 年 28 巻 3 号 p. 384-388

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抄録

各種脳腫瘍の細胞学的特徴を明らかにするため, 摘出材料の塗抹細胞標本を用い, 細胞個々の形態, 特に核長径, 核形, クロマチンの性状, 核小体の大きさ, 数について検索を行い, 以下の結果を得た.
1.組織型ごとの核長径平均値は, 正常の星膠細胞および低悪性度の膠腫ではいずれも9μ以下と比較的低い値を呈したのに対し, 膠芽腫, 胚腫, 転移性腺癌など悪性例では著しく高値を示した.
2.核形については, 低悪性度の膠腫や良性の髄膜腫, 下垂体腺腫では円形ないし楕円形のものが多くみられたが, 悪性例では不整形核を有する細胞が増加した.
3.原発性脳腫瘍では転移性のものに比べて, 核縁が菲薄で, 細穎粒状のクロマチンを有する細胞が多く認められた.
4.2μ以上の大型核小体, ないし3個以上の核小体を有する細胞の腫瘍細胞中に占める率は, 胚腫で最も高く, 膠芽腫や転移性腺癌でも比較的高い数値を示したが, 他の組織型ではいずれも10%以下であった.

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