日本臨床細胞学会雑誌
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先天性神経芽細胞腫4例の細胞学的特徴
丹野 正隆水口 国雄山村 彰彦鈴木 不二彦鈴木 節子石本 浩市宮野 武坂田 葉子松井 英雄白井 俊一
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1991 年 30 巻 1 号 p. 88-94

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抄録
われわれは出生直後に摘出術を行った4例の先天性神経芽細胞腫を経験したので, その病理組織学的および臨床細胞診的な特徴について報告する.3例は副腎由来であり, ほかの1例は脊椎管由来のdumb-bell型であった.3例は花冠形成型の神経芽細胞腫であり, 1例は円形細胞型であった.迅速組織診時に作成された捺印標本では分化度の低い腫瘍細胞を認めた.この捺印標本では4例とも, 1) 細胞質の乏しい, 円形核を有する腫瘍細胞からなる, 2) 核の性状では1例を除き核クロマチンは顆粒状で, 核縁は薄い, 3) Homer-Wright型ロゼットを認める, 4) 核の大小不同と核分裂像を認めた, 5) 細胞突起と線維性基質が存在した, 点である.これらの所見はいままでの小児期の神経芽細胞腫の報告にほぼ一致するが, 異なる点は全例にHomer-Wright型ロゼットおよび線維性基質がみられること, これまでの報告にあるような多核の腫瘍細胞が今回の症例では存在しなかったことである.
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