日本臨床細胞学会雑誌
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耳介後部に初発したKi-1リンパ腫の1例
松井 武寿上原 敏敬佐野 裕作江良 英人出雲 俊之金子 安比古岸 紀代三高山 昇二郎
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1992 年 31 巻 3 号 p. 493-498

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抄録

耳介後部に初発したKi-1リンパ腫を経験したので報告する. 患者は18歳の男性. 確定診断と治療目的のため当センター耳鼻科を受診し生検が行われた. 捺印標本では腫瘍細胞は孤立散在性に出現し核は大小不同が著しく, 核異型の強い細胞であった. 馬蹄形や多核およびドーナツ状の核を有する細胞がしばしばみられた. また, Reed-Sternberg (RS) 細胞類似の巨細胞が観察された. 病理組織学的には, 既存のリンパ節構造は認められなかった.腫瘍細胞の核は非常に多形性に富んでいた. 免疫染色で, Ki-1, Ber-H2, EMA染色などが陽性であった. Ki-1リンパ腫は, 著しい多形性を示すため, ほかの腫瘍との鑑別には臨床経過, 臨床診断, 免疫染色などを参考に, 細胞像を詳細に観察することが肝要と思われた.

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