1994 年 33 巻 1 号 p. 63-68
BAL細胞診にCMV感染細胞, カリニおよび腫瘍細胞が認められたATLの1例を経験したので報告する.BAL細胞診, 剖検肺組織標本を用いて, カリニ, CMV感染細胞の形態学的および組織細胞化学的検索を行った.
カリニは, メイギムザ染色で嚢子内小体が, グロコット染色で嚢子壁, 嚢子内括弧状構造が染色され, PAS, グリドリーおよび酵素抗体法では嚢子壁が鮮明に染色された.また, 電顕では厚い嚢子壁, 栄養型およびtubular expansionが観察できた.
CMV感染細胞は, 粘液染色で細胞質内封入体が顆粒状に陽性を示し, 酵素抗体法, ISH法では核縁, 核内封入体および細胞質内封入体が陽性を示した.さらに電顕にてVirus particleの存在を確認した.