日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部腺癌を伴った体部癌肉腫の1例
木岡 寛雅藤井 恒夫谷本 博利谷岡 慶英福田 智戸田 環山根 哲実片山 正一
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1995 年 34 巻 3 号 p. 506-510

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抄録

子宮頸部に内頸部型高分化腺癌を伴った体部癌肉腫例を経験したので報告する. 症例は62歳の5妊2産の主婦で, 不正性器出血を主訴に受診した. 術前, 子宮頸部擦過, 内膜吸引細胞診ともにクロマチンが粗顆粒状を示し, 核小体を有する核が不規則に重積する細胞集塊を認め, 頸部腺癌が疑われたが, 術前細胞診で癌肉腫病変を推定することは困難であった. 摘出物は子宮底部に2cm大のポリープ状腫瘤を認め, 病理組織像は癌肉腫であった. また, 子宮頸部に3cm大の潰瘍を形成した高分化型の内頸部型腺癌を認めた. 免疫組織化学的な検討では, 頸部腺癌はCEA, EMAが陽性であったが, 癌肉腫の腺癌部分はCEA陰性, EMA陽性であった. Keratin, Desmin, Vimentinについても検討したが, 頸部腺癌, 癌肉腫いずれの成分も陰性であった. 以上, 頸部腺癌を合併した体部癌肉腫例というまれな症例を経験し, 免疫組織化学的検討が診断に有用であった.

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