日本臨床細胞学会雑誌
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乳頭分泌物の細胞診のみで術前診断された男性非浸潤性乳管癌の1例
林 愛三輪 浩次江村 巌
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1996 年 35 巻 3 号 p. 237-240

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抄録

症例は56歳男性. 左乳頭の血性分泌物に気付き受診した. 乳頭分泌物の細胞診標本には組織球や少数の壊死に陥った細胞とともに種々の程度の異型性を示す上皮性細胞塊を認め, 腺癌と診断された. 腫瘤は触知せず, 乳房超音波検査や胸部CTなどでも異常を見出せなかった. 切除標本にも肉眼的には腫瘍を確認できなかったが, 病理組織学的には7×4×6mmの領域で顕微鏡的にきわめて隣接した2つの導管に非浸潤性乳管癌 (面庖癌) を, その周囲の7つの導管にintraductal hyperplasia with atypismの像を認めた. 本例は乳頭分泌物の細胞診により術前診断された男性非浸潤性乳管癌の1例であった. 男性の非浸潤性乳管癌の報告は少ないので多少の文献的検討結果も加えて報告する.

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