日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜細胞診が診断のきっかけとなった閉経後結核性子宮留膿症のまれな1例
佐藤 賢一郎水内 英充若林 淳一田中 恵伊東 英樹
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1996 年 35 巻 5 号 p. 432-438

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抄録

子宮内膜細胞診が診断のきっかけとなった69歳閉経後結核性子宮留膿症のまれな1症例を経験した.子宮頸部細胞診では異常を認めなかったが, 子宮内洗浄前の子宮内膜細胞診にてwaterybackground, protein dropletとリンパ球の高度浸潤を伴う炎症性背景の中にLanghans型と思われる多核巨細胞と類上皮細胞のclusterが認められた.子宮内洗浄後の子宮内膜細胞診所見は背景が多少クリーンになっている他洗浄前と同様であった.子宮内膜の病理組織診では結核をはじめとした慢性肉芽腫性炎症病変が認められた.抗酸菌染色陽性, 結核菌DNA検査陽性, ツベルクリン反応陽性と合わせ閉経後結核性子宮留膿症と診断した.子宮留膿症は比較的まれな疾患であるが, その取り扱いに際し結核性ということもあり得ることを念頭に置くことは重要であり, また内膜細胞診が診断のきっかけとなる可能性もあることが示唆された.

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