腟スメア中に酵母様真菌を認め, さらにカンジダ属が分離同定された47例を対象として主に酵母細胞の形態的検討を行い, 細胞診検体の検鏡による種の推定とその精度について検討した.その結果, C. albicans酵母細胞は長径4μ以上が多く, 最も多くの小型酵母細胞をみた症例でさえも49%は長径4μ以上の酵母細胞であった。また, ほとんどの症例に仮性菌糸が観察された.C. glabntoは98.5%が長径4μ以下の酵母細胞であり, 長径5μ 以上の酵母細胞はきわめてまれであった.C. kruseiは4μ以上の酵母細胞としてみられたが, 6μ以上のものが多く, C. albicansに比べ長楕円形の酵母細胞が多かった.
以上の結果は, 膣真菌症の原因菌として重要なC. albicansとC. glabntaを細胞診で鑑別しうる可能性を示唆するものであり, 早期診断や治療に役立つと考えられた.