日本臨床細胞学会雑誌
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腟スメア上に検出されるカンジダ属に関する形態学的検討
田口 勝二岩原 実藤田 正志村石 佳重渡辺 裕子渋谷 和俊安田 貢寺内 文敏小倉 久男直江 史郎
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1997 年 36 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

腟スメア中に酵母様真菌を認め, さらにカンジダ属が分離同定された47例を対象として主に酵母細胞の形態的検討を行い, 細胞診検体の検鏡による種の推定とその精度について検討した.その結果, C. albicans酵母細胞は長径4μ以上が多く, 最も多くの小型酵母細胞をみた症例でさえも49%は長径4μ以上の酵母細胞であった。また, ほとんどの症例に仮性菌糸が観察された.C. glabntoは98.5%が長径4μ以下の酵母細胞であり, 長径5μ 以上の酵母細胞はきわめてまれであった.C. kruseiは4μ以上の酵母細胞としてみられたが, 6μ以上のものが多く, C. albicansに比べ長楕円形の酵母細胞が多かった.
以上の結果は, 膣真菌症の原因菌として重要なC. albicansC. glabntaを細胞診で鑑別しうる可能性を示唆するものであり, 早期診断や治療に役立つと考えられた.

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