1997 年 36 巻 2 号 p. 141-145
細胞診断業務においてわれわれは日常パパニコロウ染色を用いている.このパパニコロウ染色には, 5種類の色素が含まれており, その色調によって角化の程度の識別, 細胞型の推定, また核クロマチンの所見や増量の程度を知ることができる.しかし, それらは感覚的, 主観的であり, 検鏡する者によって, 染色結果の評価に若干の差があると思われる.そこで今回われわれは, エオジン, ライトグリーン, オレンジG, ヘマトキシリンの色調を数値化することにより, パパニコロウ染色を客観的に評価できるのではないかと考え, 繊維の染色結果を評価するため開発されたLab表色法を用い市販の4社の染色液, それぞれの色調の違いを測定し比較を行った.この方法により観察による色調の差を数値の差として表わすことを可能にすることができたので報告する.