厚生省がん研究助成金金子班の肺癌検診の精度管理に関するアンケート調査の一環として, 実際に喀痰細胞診の判定を行っている施設および細胞診指導医・細胞検査士などの個人を対象にカラー写真による判定基準の検証を試みた. その結果, 細胞異型の高度なものでは, ほぼ, すべての施設で要精査と判定していたが, 細胞異型の軽度な早期肺癌症例や異形成の症例では, 要精査と判定しない一部の施設もみられた. 日本肺癌学会編の肺癌取り扱い規約, 肺癌集団検診の手引きおよび集団検診における喀痰細胞診の判定基準と指導区分などにより用語などの統一がはかられているが, 実際の診断基準には施設によりばらつきがあり, さらに今後, 各施設での研鑽が必要と思われた. なお, 本アンケートの問題点として, 実際のプレパラートによるアンケートではなかったこと, 対象がすべての喀痰細胞診判定施設ではなかったことなどを保留する.