子宮内膜増殖症における, 子宮内膜吸引細胞診成績およびその標本上にみられる内膜腺細胞の核所見, 細胞集団の出現形式および辺縁像を検討し, 次の結論を得た.(1) 子宮内膜吸引細胞診で陰性であったものは, 単純型子宮内膜増殖症では63.6%, 複雑型子宮内膜増殖症では49.5%, 単純型子宮内膜異型増殖症では44.4%, 複雑型子宮内膜異型増殖症では33.3%であった.(2) 核異型は単純型子宮内膜増殖症ではなく, 複雑型子宮内膜増殖症ではないか, あったとしても軽度のものであった. 子宮内膜異型増殖症では, 単純型より複雑型でその異型度は増強するようになるが, Grade 1腺癌のそれと比べて低い傾向にあった.(3) 細胞集団における細胞異型, 構造異型について検討してみると子宮内膜増殖症よりは子宮内膜異型増殖症で構造異型の頻度が高く, それは単純型よりも複雑型で高い傾向がみられた.(4) 細胞集団単位mm当たりの突起数は増殖症病変が高度になるほど増加する傾向がみられた. 各増殖症ではいろいろな形態の突起がみられるが複雑型子宮内膜増殖症は整の棍棒状が多く, 単純型子宮内膜異型増殖症では整の棍棒状, 乳頭状が多く, 複雑型子宮内膜異型増殖症では不整の棍棒状の突起が増加する傾向がみられた.