1999 年 38 巻 1 号 p. 80-83
後腹膜腫瘍の生検にて診断された精巣burned-out tumorの1例を経験したので報告する. 症例は53歳, 男性で, 後腹膜腫瘍生検材料の捺印細胞診が行われた. Diff-Quik染色標本にて大型の異型細胞と小型リンパ球の二種類の細胞がみられ, 背景には枯山水の砂礫を白色と紫色に色づけしたような, いわゆるtigroid appearanceが観察された. 摘出された左精巣には約1 mm大の疲痕化組織がみられ, burned-out tumorと診断された. Diff-Quik染色におけるtigroid appearanceの存在は, 本腫瘍の診断および悪性リンパ腫との鑑別に有用であった.