筋上皮系細胞が関与する唾液腺腫瘍の細胞像を明らかにする目的で, 24症例の唾液腺腫瘍 (pleomorphic adenoma15症例, myoepithelioma1症例, basal cell adenocarcinoma2症例, adenoid cystic carcinoma4症例, epithelial-myoepithelial carcinorna2症例) の捺印細胞診を用いて細胞学的検討を行った.その結果, 小型で円形から類円形の裸核状細胞が集塊または弧在性に出現する傾向がみられ, これらの細胞はさまざまな形態を示す筋上皮系細胞であると考えられた。また, May-Giemsa染色では各組織型で異なるmetachromasiaが観察された.
唾液腺腫瘍には数多くの良・悪性腫瘍が存在するので細胞診では鑑別疾患を正確に行うことが重要であり, 類似する出現形態を示す腫瘍群に関しては, metachromasiaの分布と染色態度が組織型の推定に有用と思われた.