日本臨床細胞学会雑誌
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細胞診で診断に苦慮した乳腺乳頭部syringomatous adenomaの1例
平沢 浩須藤 健助伊藤 裕子黒田 誠浦野 誠安倍 雅人溝口 良順笠原 正男
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1999 年 38 巻 4 号 p. 338-341

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抄録

乳腺乳頭部のsyringomatous adenomaは, 局所的に浸潤性増殖を示すきわめてまれな良性腫瘍で, 穿刺吸引細胞診では診断に苦慮したが, 手術材料で病理組織学的にsyringomatous adenoma of the nippleと確定診断された1例を報告する. 症例は87歳, 女性. 高血圧にて通院中に乳腺の腫瘤を自覚し, 穿刺吸引細胞診が施行された. 穿刺により線維束状あるいは層状構造を呈する角化様物質を背景に, 多核組織球とN/C比大, 核の大小不同, 肥大した核小体を有する異型上皮成分が少数採取されていた. 背景物質の同定には苦慮したが, 上皮成分の所見より乳管癌が疑われた. 病理組織学的にはsyringomatous adenoma of the nippleと診断された. 穿刺吸引細胞診所見から本疾患を推定することは困難であったが, 背景に認めた角化様物質の存在が特徴的所見と思われた.

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