抄録
基礎疾患のない患者のクリプトコッカス髄膜炎の1例を経験し, その診断に卵白グリセリン滴下塗抹標本でのパパニコロウ染色が有用と思われたので報告する. 患者は特に既往歴のない51歳の女性で, 2ヵ月前より頭痛, 発熱などの症状により経過観察されていた. 項部硬直を認めるようになり髄液が採取された. 細胞診でクリプトコッカスが認められ, 培養ではCtyptococcms neoformansが同定された. 髄液は白色半透明で, 沈渣は白色粘稠であった. 細胞所見では, リンパ球は比較的乏しくきれいな背景であり, その中に5~15μmで大小不同のある類円型の菌体が多数認められた. パパニコロウ染色において, これらはほとんどが無色であったが, 淡くライトグリーンに染まっているものも少数みられた. 涙滴状の出芽や黄膜部分が観察されるものもあった. PAS染色では赤紫色に, ギムザ染色では濃紫色に明瞭に染色された. 卵白グリセリン滴下塗抹標本でのパパニコロウ染色では, 墨汁染色のように菌体周囲のhaioが明瞭となり, クリプトコッカスと同定することは容易であった.