日本臨床細胞学会雑誌
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39 巻 , 3 号
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  • 田中 尚武, 平井 康夫, 竹島 信宏, 楯 真一, 岡野 滋郎, 南 敦子, 都竹 正文, 山内 一弘, 関谷 宗英, 荷見 勝彦
    2000 年 39 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的・対象: 過去9年間に癌研病院にて, 子宮内膜吸引細胞診により悪性細胞が検出された子宮外臓器由来腺癌37例 (乳癌10例, 卵巣癌9例, 胃癌6例, 卵管癌3例, 直腸癌3例, 結腸癌3例, 膵癌2例, 胆嚢癌1例) を対象とした.全症例に膣プールスメア (V), 子宮膣部 (C), 子宮頸部 (E) 擦過細胞診を同時に施行した.また, 37例全例について子宮内膜病理組織検査を施行し, 37例中13例 (35.1%) に子宮内膜転移が確認された.そこで子宮内膜転移例と非転移例における細胞診断学的特徴を明らかにすることを目的として各細胞診標本を見直した結果, 以下の知見を得た.
    結果:(1) 内膜転移例では13例中4例 (30.8%) に腫瘍性背景が存在したのに対し, 内膜非転移例24例では全例腫瘍性背景を認めなかった (p<0.05).(2) VCEスメアへの癌細胞の出現は内膜転移例では13例中10例 (76.9%) であったのに対し, 内膜非転移例では23例中6例 (26.1%) と内膜転移例に比し有意に低率であった (p<0.05).(3) 内膜転移例では13例中12例 (92.3%) に細胞集塊に「ほつれ」所見があるのに対し, 内膜非転移例24例中4例 (16.7%) と内膜転移例に比べ有意に「ほつれ」所見の陽性率は低率であった (p<0.05).
    結論: 以上より子宮外腫瘍由来と考えられる悪性細胞を認める症例の子宮内膜吸引細胞診において, 腫瘍性背景の有無および細胞集塊にみられる「ほつれ」所見の有無により子宮内膜転移の有無を推定しうることが示唆された.
  • 根本 玲子, 杉山 裕子, 荒井 祐司, 平井 康夫, 佐藤 恒, 楯 真一, 岡野 滋行, 都竹 正文, 荷見 勝彦
    2000 年 39 巻 3 号 p. 137-141
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的: 子宮内膜細胞診において, 子宮体部の漿液性腺癌と卵巣, 卵管の漿液性腺癌の鑑別を目的に, 細胞学的検討を行った.
    方法: 1977年~1998年の21年間, 癌研究会附属病院にて手術を施行し, 確定診断された子宮体部漿液性腺癌32症例と, 子宮内膜細胞診陽性であった卵巣, 卵管原発の漿液性腺癌21症例を対象とした.子宮内膜細胞診はすべて増淵式吸引スメア法で採取した.
    結果: 細胞標本が見直し可能であった42例中, 子宮体部原発の26症例と, 卵巣, 卵管原発の16症例 (うち, 卵管癌7例) について細胞像を比較した.子宮体部漿液性腺癌では背景が腫瘍性 (92%) で, 正常子宮内膜細胞の混入は少なく, 腫瘍細胞集塊の辺縁が鋸歯状不整 (85%) な症例が多くみられた.一方, 卵巣, 卵管の漿液性腺癌では背景がきれい (81%) で, 正常子宮内膜細胞が多数混在しており, 腫瘍細胞集塊の辺縁が平滑 (94%) な症例が多くみられた.また, 腫瘍細胞集塊の構成細胞数は子宮体部漿液性腺癌では125.8±9.4個, 卵巣および卵管の漿液性腺癌では54.6±4.9個であり, 子宮体部漿液性腺癌の方が有意に多かった (t-test; p=0.000).
    結論: 子宮体部漿液性腺癌と卵巣, 卵管原発の漿液性腺癌は, 子宮内膜細胞診上個々の腫瘍細胞形態のみでは, 区別が困難であるが, 背景や集塊の出現形式, 正常子宮内膜細胞の混在に注目すると区別が可能と考えられた.
  • 柳野 和雄, 板持 広明, 入江 隆, 皆川 幸久, 紀川 純三, 寺川 直樹
    2000 年 39 巻 3 号 p. 142-145
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    妊婦の子宮頸部細胞診判定におけるベセスダシステムの有用性を明らかにすることを本研究の目的とした.
    妊婦3369人のうち, 頸部細胞診がクラスIIIa以上で追跡調査可能であった19症例を対象としてベセスダシステムによる再評価を行った.
    ベセスダシステムの判定結果は, 標本不適2例, 炎症5例, low grade squamous intraepitheliallesion (LSIL) 6例, high grade SIL (HSIL) 5例, 浸潤癌1例であった.ベセスダシステムで炎症と再判定された全例で経過観察中に病変が消失した.病変が存続した7例はすべてSILと判定された.LSILでは6例中5例で病変の消失がみられたが, HSILでは消失しなかった.クラスIIIa症例中, 中等度異形成と診断された3例はHSILと判定され, 円錐切除後2例が上皮内癌, 1例が高度異形成であった.中等度異形成がHSILに含まれることで, クラスIIIa症例であってもハイリスク群を抽出する可能性が示された.
    本研究成績から, ベセスダシステムは日母分類でクラスIIIa以上と判定された妊娠時の細胞診断に有用であることが示唆された.
  • 新井 ゆう子, 西田 正人, 井上 久美子, 高野 克己, 南 里恵, 久保 武士
    2000 年 39 巻 3 号 p. 146-153
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的: 頸部腺癌が細胞診によるスクリーニングから漏れる原因を明らかにすること.方法:当科で治療を受けた子宮頸部腺癌59例の臨床的特徴, 細胞像の特徴, 腫瘍性背景の出現頻度を検討した.
    成績: 1) 臨床進行期の内訳は, 0期3.4%, Ia期11.9%, Ib期50.8%で, 扁平上皮癌に比し, 早期癌が少なかった.2) 1年以内の検診歴がIb期3例, II期4例にあり, 浸潤癌になっても細胞診断上の確定診断が困難な症例があった.3) 細胞所見では, 重積するクラスターの出現は必ずしも認められず, 核異型も弱いことが多く, 最も高頻度に認められた異常は, 配列の乱れと核の増大, 大小不同だった.4) 細胞診における腫瘍性背景の頻度は, Ia期14.3%, Ib期34.5%, II期60.0%で, 浸潤癌になっても壊死物質が出現しにくい傾向にあった.
    結論: 細胞診で典型的な腺癌の診断基準を満たさないこと, 浸潤癌になっても腫瘍性背景の出現しにくいことが, 頸部腺癌がスクリーニングから漏れる原因になっていると考えられ, 背景がきれいでも, 配列の乱れと核の増大・大小不同を認める頸管腺集塊を認める場合には, 浸潤癌の存在も考慮して積極的に精査を進めることが重要と思われた.
  • 光野 彩子, 渋田 秀美, 岡村 宏, 佐久間 暢夫, 亀井 敏昭
    2000 年 39 巻 3 号 p. 154-159
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的: 腹水細胞診においてAgNOR染色を応用し卵巣腺癌細胞と反応性中皮の鑑i別の補助診断法としての有用性を検討した.
    方法: 腹水細胞診陽性の卵巣腺癌症例11例と, 対照の反応性中皮を伴う良性腹水の出現した女性11例を対象としてAgNOR染色を施行し, 一核あたりの平均AgNORsドット数をm-AgNOR, 一核あたりのAgNOR数がn個以上である核を有する細胞の占める割合をP-AgNOR≧n (%) と定め検討した.成績:m-AgNORは卵巣腺癌細胞と反応性中皮の間で有意差を認め (p=0), 両者の鑑別に有用であった.また, 同症例の組織標本に於けるm-AgNORは細胞診標本のものと正の相関の傾向にあり, 細胞診標本に於けるm-AgNORの信頼性が確認された.しかし, AgNORsドット数の正確なカウントおよびm-AgNORの算出には大変な労力を要する.一方p-AgNOR≧4or5は両者間で有意差を認め (p<0.001), より簡便で実用的であった.
    結論: 体腔液細胞診における卵巣腺癌細胞と反応性中皮との鑑別の補助診断としてのAgNOR染色の有用性が示唆された.
  • 加藤 拓, 高橋 久雄, 徳泉 美幸, 安藤 智子, 津嶋 朋子, 上原 敏敬
    2000 年 39 巻 3 号 p. 160-164
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的および対象: 唾液腺病変の穿刺吸引細胞診で組織型の明らかな127例 (非腫瘍性病変21例, 良性腫瘍85例, 悪性腫瘍21例) について検索した.
    成績: 良悪性の正診率は95.6%, 良性病変では97.0%, 悪性腫瘍のみでは86.7%, 組織型の一致率は76.3%であり, 誤陽性は3例, 誤陰性は2例であった.また細胞不採取による判定不能例が10.2%(13例) みられた.誤陽性は多形腺腫を腺房細胞癌, 基底細胞腺腫を腺様嚢胞癌およびワルチン腫瘍を異型細胞としたそれぞれ1例であった.誤陰性は腺様嚢胞癌および多形腺腫内癌をそれぞれ多形腺腫とした2例であった.
    結論: この病変における細胞診の見方は (1) 組織像を念頭におき, 診断することが必要であった.その際には (2) 臨床所見を参考に, 初めに炎症性なのか, 腫瘍性変化なのかを判断することが大切であった.(3) 良性腫瘍の96.5%(82/85) は多形腺腫とワルチン腫瘍であるため, これらの腫瘍を確実に診断することが大切であった.(4) 悪性腫瘍に多い粘表皮癌, 腺房細胞癌および腺様嚢胞癌は単一細胞で出現し, 細胞異型が乏しいことが多い.そのため, 良性腫瘍と判断しやすい傾向にあり, これらの細胞出現形態を良く把握しておくことが大切であった.また,(5) 細胞不採取による判定不能例 (病変部に起因, 技術的なものに起因) をできるだけ少なくすることが必要であった.
    穿刺吸引により病変を構成するすべての細胞が採取されているとは限らず, むしろ一部の細胞しか採取されていない症例もある.そのため, 採取されたすべての細胞とその背景的変化を丹念に観察し, 臨床所見も参考に総合的に診断することが大切であった.
  • 佐藤 康晴, 梶原 忠雄, 和田 健一, 金子 千之, 藤原 恵
    2000 年 39 巻 3 号 p. 165-169
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的: Anaplastic large cell lymphoma (ALCL) において, しばしば出現する核内細胞質封入体の診断的意義について検討した.
    方法: ALCL (Tcelltype) 3例, Anaplastic large B-cell lymphoma (ALBCL) 7例, non-Hodgkin's lymphoma 133例 (B-ce11 1ymphoma 107例, T-cell lymphoma26例) およびHodgkin'sdisease15例の捺印細胞診標本をもちいて核内細胞質封入体について光顕的に観察した.
    成積: 核内細胞質封入体はALCLでは3例中全例に認めたが, 対象とした他のリンパ系腫瘍では認めなかった.
    結論: 核内細胞質封入体の存在はALCLを細胞学的に診断する上で重要な手がかりになりうると考えられた.
  • 北村 隆司, 那須 直美, 楯 玄秀, 光谷 俊幸, 土屋 眞一, 太田 秀一
    2000 年 39 巻 3 号 p. 170-178
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的: 今回われわれは生理食塩水 (PSS) の持つ高い洗浄効果と高濃度のアルコール固定を組み合わせた新たな穿刺針洗浄法 (昭和大学藤が丘病院式針洗浄法: SF式洗浄法) を考案し, その検討を行った.
    方法: 摘出手術が施行された乳腺腫瘤48例を用いて, SF式洗浄法に使用する固定液と手技の検討, ならびにSF式, PSSおよびサコマノ液による各種針洗浄法の細胞像の特徴について検討した.
    成積: SF式洗浄法のもっとも適切な手技は,(1) 穿刺吸引検体の直接塗抹標本作製後PSSにて注射針内を洗浄, 直ちに洗浄液を10%ポリエチレングリコール加95%エタノール液に入れ細胞を固定 (アルコール最終濃度は85%前後に調整).(2) ボアフィルター法あるいはサイトスピン法にて集細胞.(3) 冷風にて乾燥.(4) 95%エタノール再固定.であると思われた.各種洗浄法の細胞像の特徴はPSS洗浄法では細胞および核の膨化が著しく, サコマノ液針洗浄法では核クロマチンの淡染化が目立った.これに対して, SF式針洗浄法では直接塗抹標本とほぼ同様な核の染色性が得られた.
    結語: SF式針洗浄法は手技に特別な技術を要することなく良好な細胞標本が得られることから, 直接塗抹標本作製時における必須の補助的標本作製法となり得るものと考えられた.
  • 寺田 信行, 杉原 綾子, 辻村 亨, 名方 保夫, 中正 恵二, 小笠原 利忠, 竹村 正, 山本 格士
    2000 年 39 巻 3 号 p. 179-182
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 類内膜腺癌, 明細胞腺癌, 扁平上皮癌の組織像を示す子宮頸部癌の症例を経験したので報告する.
    症例: 症例は, 53歳女性.子宮膣部に出血, びらんを伴うカリフラワー状の腫瘤が認められ, 組織生検では, 明るい細胞質を持つhobnail状の細胞の乳頭状増殖を示す明細胞腺癌, 明細胞腺癌様の細胞もみられる類内膜腺癌および扁平上皮癌が認められた.数回の子宮頸部i擦過細胞診において, 敷石状配列を示し, 厚みのある細胞質を持つ扁平上皮癌細胞集団, 重積性を示し腺腔構造もみられる腺癌細胞集塊, および明るい豊富な細胞質, 微細穎粒状クロマチンがみられ核小体の明瞭な大小不同の核を持つ明細胞腺癌細胞のシート状集塊が認められた.
    結論: 本症例の経験から, 詳細な細胞診により, 多彩な組織型の子宮頸癌の存在も推定することが可能であると思われる.
  • 別府 理子, 日浦 昌道, 野河 孝充, 川上 洋介, 千葉 丈, 山内 政之, 亀井 孝子, 万代 光一
    2000 年 39 巻 3 号 p. 183-187
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: バルトリン腺癌の中でもきわめてまれで, 進行は緩徐であるが, 転移再発を来しやすい腺様嚢胞癌の1例を経験したので報告する.
    症例: 症例は68歳で, 平成2年に近医で右外陰部腫瘍摘出術を受けているが, 廃院のため組織学的診断は不明である.平成6年頃より右外陰部有痛性腫瘤が出現するも, 放置していた.平成10年1月より腫瘤の増大傾向を認め, 精査加療目的にて当科を紹介された.内診にて右外陰部に鳩卵大の可動性不良の硬い腫瘤を触知したが, 穿刺吸引細胞診は患者が拒否したため, 施行できなかった.平成10年12月3日, 右外陰部腫瘍摘出術を施行した.摘出腫瘍は3.0×2.5×2.0cm大の境界明瞭で硬く, 捺印細胞診では, 大小の粘液嚢胞を取り囲む中等度異型, 円~類円形, 大小不同や核型不整が少なく, N/C比の軽度増大した腫瘍細胞がみられた.組織所見でも同様の腫瘍細胞が多数の小腺管様を形成し, 内腔には, エオジンに淡染する類) 硝子様物質の充満がみられ, 腺様嚢胞癌と診断した.
    結論: 術後化学療法としてCEP療法を施行し, 現在無病生存中であるが, 進行が緩除のため長期間の経過観察が必要である.
  • 大谷 博, 金城 満, 鷺山 和幸, 濱野 克彦, 森 致, 高島 扶貴子
    2000 年 39 巻 3 号 p. 188-193
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 膀胱および右腎孟原発の著明な腺様化生とapoptosis様所見を示すまれな移行上皮癌の1例を報告し, その細胞像および病理組織像を紹介するとともにそれらの意義について考察した.
    症例: 患者は71歳, 男性. 主訴は肉眼的血尿, 自然尿細胞診はclass IIIbであった. 膀胱鏡では, 膀胱左側壁に径1~2cm大の非乳頭状隆起性腫瘍が認められ, その内視鏡的切除 (TURBt) 標本では高異型度の移行上皮癌の中に酸性粘液を持つ細胞質内小管腔が多数認められた. さらに, 右腎腫瘍が発見され, 腎尿管全摘除術が行われた. 摘出腎腎孟にはその下半分を占める非乳頭状隆起性腫瘍がみられ, 組織学的には膀胱腫瘍と類似していた. 両腫瘍ともapoptosis様所見が粘液空胞の分布に一致して高頻度に観察された. 術後, 化学療法が施行されたが, 発症から約9ヵ月後に死亡した. 尿中剥離細胞の形態的特徴は, 1) 平滑な核縁, 2) 胞体内粘液空胞の存在, 3) 核偏在性であり, 通常の移行上皮癌の細胞形態像とは異なっていた.
    結論: 本例のapoptosisを含む形態像と増殖活性, および急速に致死的となった臨床経過を考慮して, 腺様化生を示す移行上皮癌の臨床病理学的意義を検討した.
  • 羽場 礼次, 三木 洋, 小林 省二, 野間 勝之, 矢野 好人, 竿尾 光祐, 舩本 康申, 大森 正樹
    2000 年 39 巻 3 号 p. 194-198
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 小腸原発の悪性類上皮型gastrointestinal stromal tumor (GIST) は, まれな腫瘍で術前診断は困難である.
    症例: 今回, 術中迅速細胞診断が確定診断に有用であった小腸原発の悪性類上皮型GISTの1例を経験したので報告する. 68歳の女性で, 下血を主訴に来院した. 術前の小腸造影, 超音波検査およびCT検査では, 小腸壁に境界明瞭な球状腫瘤が認められた. 臨床的に小腸原発の悪性腫瘍が疑われたため, 小腸部分切除術が施行された. 小腸腫瘍は小腸壁内に発生し壁外性に増殖する直径55mmの球状腫瘤で, 術中の迅速組織1診断では, 悪性類上皮型GIST, 悪性リンパ腫, 未分化癌, 悪性黒色腫などが疑われた. しかし同時に行われた術中細胞診により, 悪性類上皮型GISTが最も考えられた.
    結論: 術中の迅速組織診断では, 切片のartifactが強いため判定しにくく, 術中細胞診の併用が診断に有用であった.
  • 松本 一仁, 池崎 福治, 宮本 誠一, 佐々木 幸雄, 八木橋 操六
    2000 年 39 巻 3 号 p. 199-203
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 細胞異型が目立ち下垂体癌との鑑別が問題となった巨大下垂体腺腫の1例を経験したので報告する.
    症例: 21歳女性.頭痛, 嘔気を主訴に入院, CT, MRI所見より下垂体腫瘍と診断され, 腫瘍切除術を受けた.手術時, トルコ鞍上に進展する境界明瞭な巨大な腫瘍を認めた.検査成績では成長ホルモン (GH) が22.9ng/mlと上昇していた.その他のホルモン値は正常範囲内であった.捺印細胞像では類円形~ 多稜形の腫瘍細胞が孤立散在性に出現, 裸核細胞も多かった.胞体はライトグリーン好性~ 淡染性, 核は類円形~ 不整形で大型核, 多形性を示し, 核小体も明瞭で1~2個みられ, 異型性もみられた.核内封入体もしばしば観察され, また多核細胞もみられた.核分裂像は認められなかった.手術組織での病理組織学的診断はびまん性増殖型の嫌色素性腺腫であった.免疫組織学的にchromogranin A, cytokeratinが陽性であった.GH染色では陽性細胞が散在し, 少顆粒型のGH細胞腫と考えられた.
    結論: 本例では腫瘍細胞に異型性, 多形性が高度で, 細胞診上, 下垂体癌との鑑別が問題となったが, 核クロマチンの増量や核縁肥厚は目立たず, 核分裂像も観察されなかったことから腺腫と診断した.下垂体腺腫でも時にかなりの細胞異型を示す場合があるため, 診断に際しては臨床情報を十分参考にするとともに, 細胞増殖能にも注意を払う必要があると考えられた
  • 北川 恭子, 久富 元治, 堀田 知子, 川岸 徳子, 湊 宏, 野々村 昭孝, 中村 忍
    2000 年 39 巻 3 号 p. 204-207
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    基礎疾患のない患者のクリプトコッカス髄膜炎の1例を経験し, その診断に卵白グリセリン滴下塗抹標本でのパパニコロウ染色が有用と思われたので報告する. 患者は特に既往歴のない51歳の女性で, 2ヵ月前より頭痛, 発熱などの症状により経過観察されていた. 項部硬直を認めるようになり髄液が採取された. 細胞診でクリプトコッカスが認められ, 培養ではCtyptococcms neoformansが同定された. 髄液は白色半透明で, 沈渣は白色粘稠であった. 細胞所見では, リンパ球は比較的乏しくきれいな背景であり, その中に5~15μmで大小不同のある類円型の菌体が多数認められた. パパニコロウ染色において, これらはほとんどが無色であったが, 淡くライトグリーンに染まっているものも少数みられた. 涙滴状の出芽や黄膜部分が観察されるものもあった. PAS染色では赤紫色に, ギムザ染色では濃紫色に明瞭に染色された. 卵白グリセリン滴下塗抹標本でのパパニコロウ染色では, 墨汁染色のように菌体周囲のhaioが明瞭となり, クリプトコッカスと同定することは容易であった.
  • 中野 万里子, 朝倉 善史, 山下 学, 寺内 利恵, 黒瀬 望, 野島 孝之, 飯塚 秀明
    2000 年 39 巻 3 号 p. 208-212
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 成人の第3脳室に発生したchordoid glioma (脊索腫型膠細胞腫) の1例を経験し, 圧挫・捺印細胞診像を検討したので報告する.
    症例: 42歳の女性で, 2年前より記銘力低下, 1年前より仕事中の意識消失が出現した.CT, MRIでは境界明瞭, 内部不均一で辺縁部に嚢胞の形成を伴う3.5cm大の第3脳室腫瘍が認められた. 摘出腫瘍の圧挫・捺印細胞診標本にて, 腫瘍細胞は緩やかに結合し, 平坦に配列するシート状上皮様細胞と個々に分散する単離細胞を認めた. 核は偏在し, 類円形で一部不整を認め, 2核も散見された. 核小体は小型で1~2個認めた. 細胞質はライトグリーン好性で, 泡沫状または厚みがあった. 組織学的には, 腫瘍細胞は比較的大型の好酸性細胞質で, 索状から小集塊状に増生していた. 核は均一な小型類円形で, 核分裂を認めなかった. 問質は粘液状で成熟リンパ球, 形質細胞浸潤を伴っていた. 免疫染色では, GFAP, vimentinが陽性, S-100蛋白, ケラチン, EMAは陰性であった.
    結論: chordoid gliomaは細胞形態上, 脊索腫や脊索腫型髄膜腫に類似するが, chordoid gliomaの存在を理解することが大切である.
  • 若槻 真吾, 広川 満良, 鐵原 拓雄, 山口 美紀, 高井 チカ子, 山田 順子, 佐野 壽昭
    2000 年 39 巻 3 号 p. 213-218
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 好酸球性肉芽腫に出現するLangerhans細胞の細胞像に関する報告は多いが, 好酸球の形態的特徴を詳細に述べた報告はない.われわれは本疾患に出現する好酸球が通 常の炎症に伴うものとは形態的に異なると考えられたので, その細胞所見を中心に報告する.
    症例: 1歳, 女児で, 右翼口蓋窩に4×4×3cm大の充実性の腫瘤がみられた. 術中迅速時に作成した捺印塗抹H & E染色標本や術中迅速H & E染色組織標本では好酸性顆粒の認識が困難であった. また, 好酸球の61%が3分葉以上であり, 平均分葉数は2.7であった.
    結論: Papanicolaou染色による細胞診や術中迅速組織診断では好酸球を好中球と見誤りやすく, 診断的落とし穴になる危険性が示唆された. 当該病変が疑われた場合にはGiemsa染色標本を併用することが必要と考えられる.
  • 今枝 義博, 堀部 良宗, 是松 元子, 安斎 幹男, 笠原 正男
    2000 年 39 巻 3 号 p. 219-220
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    The patient was a 26-year-old man. During the detailed work-up after the development of pneumonia, he was diagnosed as having a mucoepidermoid carcinoma of the bronchus by transbronchial biopsy and cytology. The smear demonstrated single and loosely aggregated squamous cells, intermediate cells containing a vacuole in their cytoplasm and mucus-producing glandular cells. Histological examination of the resected tissue specimens showed cancer cells spreading discontinuously to the muscle layer. Therefore, careful follow-up was considered necessary even ofter radical operation.
  • 秋山 典子, 西宮 雅世, 上野 喜三郎, 羽山 忠良, 田中 昇
    2000 年 39 巻 3 号 p. 221-222
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of pulmonary cryptococcosis. An 81-year oldman presented with dyspnea, fever, and an abnormal chest X-ray. Sputum cytology revealed the presence in abundance of oval organisms, 3-15 μm in diameter and palely stained with hematoxylin. C. neoformans was identified by multi-staining with Alcian blue-PAS. The organisms were positive for PAS, and their capsules for Alcian blue. The capsules of the small organisms (<10μm) were not clearly stained (control and Mucicarmine 65%; Alcian blue 62%). On Alcian blue-PAS multi-staining, however, the capsules of 99% of C. neoformans cells were clearly observed and readily distinguished from the coexistent Candida albicans.
    Thus, Alcian blue-PAS multi-staining is useful for identifying C. neoformans, and for distinguishing them from other fungi.
  • 近藤 万里, 宮崎 龍彦
    2000 年 39 巻 3 号 p. 223-224
    発行日: 2000/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report the imprint cytological features of solid cystic (SC) tumor of the pancreas. The patient was a 40-year-old woman with abdominal inflation. CT scan revealed a 12-cm mass in the middle part of the pancreas and multiple metastatic lesions in the liver. Imprint tumor cells of the pancreas formed papillary clusters and exhibited increased nucleocytoplasmic ratio. Nuclei of euchromatin were rich, and irregular in size and shape. SC cells were positive for Periodic Acid-Schiff after diastase treatment. Histological examination showed tumor cells arranged in a papillary pattern. Immunohistchemical examination demonstrated tumor cells were positive for vimentin, progesterone receptor, NSE and synaptophysin.
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