背景:子宮頸部・内膜細胞診に扁平上皮細胞を伴った腺癌細胞が出現した卵管癌の1例を報告する.
症例:症例は67歳女性, 不正性器出血を主訴に来院し, 子宮頸部細胞診と内膜細胞診に, 異型腺細胞の集団と異常角化を示す多数の扁平上皮細胞を認めた. 腫瘍性背景を認めないこと, 出現腺癌細胞に軽度の変性像を認めること, 良性内膜腺細胞を比較的多数認めることなどから, 子宮外の腺癌で扁平上皮成分を伴う腫瘍を疑った. 病理所見では, 左卵管内に長径0.5cmの小さな腫瘍を認め, 組織学的に扁平上皮成分を伴う中等度分化型の漿液性乳頭状腺癌であった.
結論:子宮内膜細胞診に扁平上皮成分を伴う腺癌が認められる場合は, 内膜原発の腺癌の頻度が高いが, 本症例のように子宮外の腺癌もまれにはおこりうるので, 細胞所見には注意が必要である.