日本臨床細胞学会雑誌
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細胞診に応用される組織化学のTechnical achievementsと21世紀への展望
長村 義之伊藤 仁梅村 しのぶ安田 政実竹越 進梶原 博
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2002 年 41 巻 3 号 p. 225-229

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抄録

細胞診領域では体腔液における免疫組織化学の有用性が高く, 積極的に応用されている.ここでは特にケラチン7と20を用いた癌の鑑別診断について概説した.In situ hybridizationはHPVのサブタイプの判別に必須となっているが, 組織診だけではなく細胞診領域においても応用されている.最近Tissue MicroarrayやLaser Capture Microdissection法という画期的な技法が開発されている.Tissue Microarrayは既存のパラフィンブロックから目的とする部分をサンプリングし, 1個のパラフィンブロックに多数の小さい組織を配列する技法である.この切片を用いることにより一度に多数の組織, 症例について解析することが可能である.Laser Capture Microdissection法は標本上から目的とする特定の組織, 細胞のみを採取することができる.また, 近年, HerceptinというHER2/neuに対するヒト化モノクローナル抗体がHER2/neuの過剰発現を示す乳癌患者に投与すると癌が縮小するということで話題をよんでいるが, その場合の治療適応患者の選定に免疫組織化学あるいはFISHが施行される.めざすものはTailormadeMedicineであり, これからの細胞診は遺伝子診断との融合ということが重要となってくるであろう.

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