日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部原発腺様嚢胞癌の1例
唾液腺原発症例との比較
石井 美樹子小島 貴赤嶺 亮河野 純一島田 智子田中 文彦
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2003 年 42 巻 1 号 p. 17-21

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抄録

背景:子宮頸部の「腺様嚢胞癌」(“adenoid cystic”carcinoma: 以下“ACC”) 1例を経験し, 唾液腺等に原発するadenoid cystic carcinoma (以下ACC) と比較して興味ある知見を得たので報告する.
症例:手術材料で最終的に“ACC”と診断された57歳女性の症例を経験したが, 唾液腺ACCの細胞像と比べて核大小不同が目立ち, 核クロマチンの分布が不均等で細胞結合性が弱く, 二相性を示唆する所見も認められなかった. また, 組織学的にも従来いわれている導管細胞と筋上皮細胞の二相性は認められず, 唾液腺ACCとの起源の違いが示唆された.
結語:子宮頸部の“ACC”は唾液腺などにみられるACCと本態が異なるものと考えられているが, 通常のスクリーニングでこれを鑑別するのは困難である. しかし, adenoid cystic patternを示す集塊を認めた場合, 子宮頸部“ACC”の本態を理解することにより本腫瘍の診断も可能になるものと考えられた.

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