日本臨床細胞学会雑誌
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尿管回腸膀胱吻合術後に発生したVillous Tumorの1例
岸川 直人河合 賢伊藤 敬足立 史朗
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2003 年 42 巻 4 号 p. 297-300

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抄録

背景:尿路腫瘍や尿路結核に対して腸管による代用膀胱・尿管の形成や, 腸管による膀胱拡大術が行われる. そのような治療を受けた患者の代用膀胱や腸管・膀胱吻合部に腫瘍が発生することが知られている. 尿管狭窄により回腸・膀胱吻合術を受けた女性の膀胱に巨大な絨毛腫瘍 (villoustumor) を経験したので, その細胞像を文献的考察も含めて報告する.
症例:61歳, 女性. 6年前に腎結核のため右腎摘出. 26年前に尿管狭窄のため左腎盂尿管部回腸膀胱吻合術を受けた. 血尿と膣前庭に腫瘤を自覚して受診した. 尿道から粘液産生性の巨大な腫瘤が露出しており, 膀胱内は粘液と腫瘤で充満していた. 尿細胞診で軽度の異型を示す高円柱上皮からなる細胞集塊が認められた. 摘出膀胱には非浸潤性の巨大な腸型絨毛腫瘍 (villous tumor) が認められた.
結論:尿路・腸管吻合術を受けた患者での特異な腫瘍発生を認識しておく必要があ

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