日本臨床細胞学会雑誌
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42 巻 , 4 号
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  • 松原 美幸, 川本 雅司, 横山 宗伯, 恩田 宗彦, 杉崎 祐一
    2003 年 42 巻 4 号 p. 271-274
    発行日: 2003/07/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:腺癌との誤判定を回避するため, 間質性肺炎 (IP) 症例の細胞診検体における細胞像の特徴の解明を目的とした.
    方法:気管支擦過, 気管支洗浄液, および気管支肺胞洗浄液に異型腺系細胞が出現し, 臨床病理学的にIPの像を呈した10例を対象に, 同時に施行した生検と比較した.
    成績:共通した細胞像は, 炎症細胞背景・明瞭な核小体・増量を伴わない粗雑なクロマチン・厚みがあり辺縁明瞭化した細胞質あるいは空胞状の細胞質である. これらが単独および数~10数個で小集塊を形成していた. さらに, 最も特徴的な所見はcollagen globuleとMallory bodyの出現であった.
    結論:IPでは, 気管支鏡検査や手術により急性増悪を招く可能性のある症例が存在する. このため, collagen globuleやMallory bodyが認められた場合, 腺系細胞の異型性が強くともIPの可能性を考慮に入れ, 慎重に報告することが重要である.
  • 工藤 玄恵, 前田 陽子, 清水 雅子, 前田 明
    2003 年 42 巻 4 号 p. 275-280
    発行日: 2003/07/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:脳腫瘍細胞診において比較的容易に組織型を判断しうる包括的な見方を考案したので報告する.
    対象と方法:日常遭遇する機会の多い良性星膠腫, 悪性星膠腫, 膠芽腫, 毛状星膠腫, 上衣腫, 稀突起膠腫, 髄芽腫, 髄膜腫, 神経鞘腫, 下垂体腺腫, そして転移性腫瘍を選んだ. それら検体の圧挫法によるPapanicolaou染色標本を低倍率で観察し, 細胞出現パターン別に包括的に分類した. 同時に, 各型に属する腫瘍間の鑑別に有用な所見を探索した.
    結果:出現パターンは集合型, 孤立散在型, そしてその両者の混在する混合型に分けられた. 集合型には, 密着塊状集塊と, ライトグリーン淡染性基質に平面的結合を示す集塊があった. 前者には髄膜腫, 神経鞘腫, 上衣腫 (乳頭型) が, そして後者には良性星膠腫, 悪性星膠腫, 膠芽腫, 髄膜腫, 神経鞘腫 (変性部分) が該当した. 孤立散在型には稀突起膠腫, 髄芽腫, 髄膜腫, 下垂体腺腫が, また混合型には膠芽腫, 髄膜腫, 転移性腫瘍が該当した. 核線は, 神経上皮由来の腫瘍に出来やすいが, その他の原発性腫瘍にはほとんどなく, その存在は組織型の鑑別に役立った. また, 星膠腫における良性・悪性の鑑別には血管間質や細胞・核の形状差が有用であった.
    結論:本観察法は簡便で, 一般臓器・組織細胞診と同じ感覚で脳腫瘍細胞診を行える特長がある.
  • 田中 真由美, 柏村 正道, 松浦 祐介, 川越 俊典, 土岐 尚之
    2003 年 42 巻 4 号 p. 281-287
    発行日: 2003/07/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:腟癌はきわめて頻度の低い婦人科悪性腫瘍であるがその前癌病変の腟上皮内腫瘍 (vaginal intraepithelial neoplasia; VaIN) は近年増加傾向にある. 当科で経験したVaIN症例について臨床所見, 細胞像を中心に検討することを目的とした.
    方法:1989~2001年までに当科でVaINと診断された20例 (VaIN I=I6例, VaIN II=1例, VaIN III=3例) を対象にし, 臨床的事項, コルポスコピー所見, 細胞診所見, 細胞診によるHPV感染の有無をretrospectiveに検討した.
    成績:年齢は28~75歳に分布し平均55.5歳であった. 既往婦人科疾患として子宮筋腫6例, 子宮頸癌6例, 卵巣癌が2例で, 1例を除き全例が手術を受けていた. 病変部位はすべて腟上部1/3に限局し, コルポスコピー所見は全例白色上皮および赤点斑で, モザイクの所見は1例も認めなかった. 細胞診によるHPV感染は11例 (55%) に認めた. 20例のVaINのうち上皮内癌の2例は治療を施行したが, 異形成の18例は経過観察を行い, その中で増悪した症例はなかった.
    結論:VaIN症例は子宮頸部腫瘍の既往および子宮摘出例に多く認められ, 発生にはHPV感染が関与していると考えられる. 子宮摘出後の検診時には腟の病変も十分考慮して診察する必要がある.
  • 高橋 久美子, 中村 泰行, 佐熊 勉
    2003 年 42 巻 4 号 p. 288-292
    発行日: 2003/07/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:欧米に比し, 本邦では悪性黒色腫症例の罹患率は低く, さらに体腔液中の細胞像を経験することは, 実際の細胞診業務ではまれと思われる. 今回私たちは腹膜転移を合併した副鼻腔原発悪性黒色腫症例の腹水細胞所見を検討する機会を得た. 貴重な症例と考え, 報告する.
    症例:症例は81歳, 女性. 右上顎洞原発の悪性黒色腫の術後経過中, 腹水の貯留をきたし, 腹水細胞診検査で多数の黒色腫細胞が確認された. 腫瘍細胞の核は, 大型の核小体を有し, 細胞質内にメラニン顆粒が多数存在する. また, 少数ながら核内細胞質封入体も確認され, 典型的な細胞像である. ただ, これまでの報告例と異なり, 細胞質の外方への突出 (bleb) を伴う腫瘍細胞も認められた. また, 腫瘍細胞は免疫染色でHMB-45, S-100蛋白陽性であった.
    結論:副鼻腔原発悪性黒色腫の経過中, 腹膜転移をきたした症例の腹水中の細胞像を紹介したメラニン顆粒に乏しい症例の存在などがあり, 典型的な像を把握しておくことは重要と思われるまた, 免疫細胞化学的にも検討したので, 併せて報告する.
  • 根本 淳, 江間 律子, 三角 珠代, 新崎 勤子, 遠藤 泰彦
    2003 年 42 巻 4 号 p. 293-296
    発行日: 2003/07/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:若年成人で, 発熱と白血球増多を伴い, 急速に増大する左腋窩腫瘍における穿刺吸引細胞診にて, 近位型類上皮肉腫を経験したので報告する.
    症例:32歳, 男性. 左腋窩部に無痛性腫瘤を触知するも放置, 腫瘤は徐々に増大し, 発熱を併発して当院を受診. 穿刺吸引細胞診において, 炎症性背景に, N/C比の高い腫瘍細胞が, 孤立散在性から一部上皮様に出現し, 腫瘍細胞は大型類円形から多稜形, 細胞質はライトグリーンに淡明から好染性で辺縁は比較的明瞭であった. また組織診, 細胞診ともに細胞質内封入体様構造が認められた. 組織所見では, 高度の炎症と広範な変性壊死を伴う, 多形性の目立つ腫瘍細胞の増殖よりなり, 一部に上皮様結合が認められた. また, 多数の細胞分裂像がみられた. さらに免疫組織化学的にEMA, Cytokeratin (CAM 5.2), S-100, Vimentin, NSE, G-CSF等が陽性となった.
    結論:診断を難渋させた要因として,(1) 発生部位,(2) 臨床経過,(3) 非定型的組織像の3つが考えられた.
  • 岸川 直人, 河合 賢, 伊藤 敬, 足立 史朗
    2003 年 42 巻 4 号 p. 297-300
    発行日: 2003/07/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:尿路腫瘍や尿路結核に対して腸管による代用膀胱・尿管の形成や, 腸管による膀胱拡大術が行われる. そのような治療を受けた患者の代用膀胱や腸管・膀胱吻合部に腫瘍が発生することが知られている. 尿管狭窄により回腸・膀胱吻合術を受けた女性の膀胱に巨大な絨毛腫瘍 (villoustumor) を経験したので, その細胞像を文献的考察も含めて報告する.
    症例:61歳, 女性. 6年前に腎結核のため右腎摘出. 26年前に尿管狭窄のため左腎盂尿管部回腸膀胱吻合術を受けた. 血尿と膣前庭に腫瘤を自覚して受診した. 尿道から粘液産生性の巨大な腫瘤が露出しており, 膀胱内は粘液と腫瘤で充満していた. 尿細胞診で軽度の異型を示す高円柱上皮からなる細胞集塊が認められた. 摘出膀胱には非浸潤性の巨大な腸型絨毛腫瘍 (villous tumor) が認められた.
    結論:尿路・腸管吻合術を受けた患者での特異な腫瘍発生を認識しておく必要があ
  • 小池 昇, 小川 真澄, 桐谷 寿子, 高橋 佐和子, 大橋 健一, 船田 信顕
    2003 年 42 巻 4 号 p. 301-305
    発行日: 2003/07/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:移行上皮癌micropapillary variantは近年報告された移行上皮癌の一型で, 侵襲の強いことがその特徴である. 細胞学的な報告はまだ少なく, 今回われわれはこの型の膀胱癌2例を経験したので報告する.
    症例:症例1は67歳, 女性. 無尿にて発症し受診, 骨盤内腫瘍を指摘された. 診断の確定しないまま腫瘍摘出術が施行され, 手術材料の病理学的検索にて膀胱癌と判明したが, 術後3ヵ月で他院にて終末期を迎えた. 症例2は72歳, 男性. 血尿にて受診し, 膀胱腫瘍が発見され経尿道的切除がなされた. しかしその後の生検, 尿細胞診でも癌細胞がみられ, 膀胱全摘術が施行された. 術後1年, 直腸周囲に腫瘍再発をきたし切除加療中. 組織学的に腫瘍は, 2例とも血管茎をもたない小乳頭状構造をとって膀胱壁内に広範に浸潤している. 細胞診上は症例1の膀胱洗浄液, 症例2の尿ともに孤立性ないし小型から中型集団をなす中~大型の類円形細胞がみられ, 集団はしばしば小乳頭状を呈する. 時々細胞質に大型空胞をもち核の偏在したものがみられ, それらは腺癌細胞に類似する.
    結論:細胞診上この腫瘍を認識することはその予後を知るうえでも重要である.
  • 佐藤 和歌子, 相田 芳夫, 福島 幸司, 白井 正弘, 工藤 治, 大沼 繁子, 竹内 英子, 田所 衛
    2003 年 42 巻 4 号 p. 306-309
    発行日: 2003/07/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:膀胱に発生する傍神経節腫はきわめてまれである.
    症例:39歳, 男性. 残尿感を主訴として来院した. 超音波検査, 骨盤部CTならびにMRI検査で膀胱左尿管口後部に約3cm大の腫瘤を認めたため, 腫瘍摘出術が施行された. 捺印細胞診ではきれいな背景に弱い結合性を示す腫瘍細胞がシート状ないし散在性に出現していた. これらの細胞は比較的広く, ライトグリーンに淡染する細胞質を有し, 細胞境界は不明瞭であった. 核は円形~類円形で大小不同を示し, クロマチンは粗顆粒状で軽度増量していた. また, 小型の核小体が1, 2個みられた.組織学的に腫瘍は多角形細胞が線維性隔壁により蜂巣状ないし島状に配列する, いわゆるZellballen patternを示し, NSE, chromogranin A, 陽性を示した. また, 電顕像では神経内分泌顆粒に相当する構造物を認めた.
    結論:膀胱発生の傍神経節腫はまれではあるが, 本腫瘍の存在も念頭におく必要があると思われる.
  • 木村 祐子, 神田 聡子, 高橋 奈菜子, 樋田 一英, 高松 潔, 矢島 正純, 西川 俊郎, 太田 博明
    2003 年 42 巻 4 号 p. 310-313
    発行日: 2003/07/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:悪性褐色細胞腫の骨盤内再発はきわめてまれである. 今回われわれは, 原発腫瘍摘出11年後にダグラス窩に再発した悪性褐色細胞腫の1例を経験したので報告する.
    症例:48歳, 女性. 右副腎褐色細胞腫にて右副腎摘出術施行. 11年後に肝転移を認め肝部分切除術が施行されたが, カテコールアミン高値が持続し, 画像診断にてダグラス窩に腫瘤をめたため, 腫瘤摘出術を施行した. 摘出術後, 血圧, カテコールアミン値はすみやかに低下した. 摘出腫瘤の捺印標本には大小不同の目立つ異型細胞が多数みられ, 細胞質は微細顆粒状であった. 核クロマチンは増量し, 大型の核小体が1ないし数個認められた. 病理組織学的検索では, 付属器表面とダグラス窩に限局した転移と, 子宮筋層内への浸潤を認めた.
    結論:細胞診による褐色細胞腫の良・悪判定はきわめて困難で, 良性腫瘍であってもその異型性の強さから癌や肉腫と誤診されることもまれではない. 本症例は, 原発巣摘出11年後に起こったダグラス窩転移であったが, 細胞学的にも褐色細胞腫の特徴を示していた.
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