日本臨床細胞学会雑誌
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消化器癌の術中洗浄細胞診
マイクロウェーブを用いた術中迅速細胞診
岡崎 哲也石 和久喜納 勝成奥山 直子風間 玲子中村 博古川 丈子古谷津 純一齊藤 啓鈴木 不二彦
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2003 年 42 巻 6 号 p. 453-461

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抄録

目的:通常術中迅速細胞診断にはPapanicolaou染色, May-Giemsa染色などが用いられるが, ときにPAS染色あるいは免疫染色 (酵素抗体法) の必要性を感じる場合がある. 特に消化器系癌手術の際, 腹腔内洗浄液および術中腹水では癌細胞と反応性中皮細胞の鑑別が困難な場合がある. このため, マイクロウェーブ迅速試料処理装置 (MI-77型, 東屋医科器械) を用いてPAS染色および免疫染色を行い術中迅速細胞診断に有用かどうかを検討したので報告する.
方法:材料は当院で得られた腹腔内洗浄液および術中腹水で95%エタノール固定標本を用い, MW照射装置を使用したPAS染色および免疫染色 (LSAB法, ChemMate ENVISION法; DAKO) を行った. 抗体はEMA, CEA, Ber-EP4, Calretininを使用した.
結果:マイクロウェーブ迅速試料処理装置を使用することで, PAS染色および免疫染色において反応の増強と染色時間の短縮が認められた.
結論:従来, 染色に時間を多く費やすと考えられていたPAS染色および免疫染色は, マイクロウェーブ迅速試料処理装置を用いることにより短時間で実施することが可能であり, また術中迅速細胞診断において有用であると考えられた.

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