日本臨床細胞学会雑誌
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腹腔洗浄細胞診における標本作製法の検討
渋田 秀美岡村 宏亀井 敏昭安永 佳麻里寺田 佳美佐久間 暢夫
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2003 年 42 巻 6 号 p. 462-469

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抄録

目的:日本臨床細胞学会雑誌 (第40巻第1号) に掲載された「胃癌の術中腹腔内洗浄細胞診ガイドライン」の検体処理方法, および染色方法について, その操作性と細胞像を検討した.
方法:ガイドラインで検体処理の際の注意点としてあげられた方法に従って標本を作製した.
結果:シランコートされたスライドガラスを用いることにより細胞剥離は軽減され, 沈渣に血清を添加して標本を作製することにより細胞の膨化変性が抑えられた. 速やかに検体処理ができない場合には, 冷蔵庫に保存することで細胞変性が抑えられた. 血性検体は, 溶血法を行うことでスクリーニングが容易となった. 細胞成分が少ない場合や固定時間が短い場合は, サコマノ液を用いることにより細胞の変性や剥離が抑えられた. 迅速検査の場合の染色法としては, 迅速パパニコロウ染色が最も有用であった.
結語:ガイドラインに記載された方法に沿って検体処理することにより, 良好な標本の作製が可能であった. 特に, 沈渣に血清を添加することは, 細胞変性の予防効果のみならず細胞変性の遅延効果, および細胞剥離の防止効果も期待されるため, 必ず行うべき操作である.

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