日本臨床細胞学会雑誌
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穿刺細胞診の実際
米国で行われている方法を例にして
武井 英博
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2004 年 43 巻 4 号 p. 243-248

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抄録

穿刺細胞診 (FNAB) は, その正確な診断には患者 (病変) の診察, 穿刺手技, スライド作成が完壁に行われなければならない.米国はこの点でたいへん優れたシステムを有しており, これは日本の臨床にも応用可能であると考え, ここに紹介する.
米国では, 表在臓器のFNABは, 患者の診察から最終診断まで, 経験豊富な病理医が行うのを理想と考えている.これは病理医が, 穿刺後, その場で染色しadequacyの判定が可能であるというマジックハンドをもち, その細胞像から病変のtriageが可能で, さらに患者フォロー (治療) のために仮診断を臨床医に伝えることができるという最大の利点に基づいている.
穿刺は, 陰圧による吸引力よりも針先端が組織を削る作用 (cutting effect) のほうが重要であり, これは針を上下方向へ素早く動かすことによって可能となる.また, 腫瘤内のさまざまな方向への穿刺によりサンプリングエラーを最小限に抑えることができる.
乳腺, 甲状腺, 顎下腺といった代表的な表在臓器は, それぞれ, 独特の疾患へのアプローチの仕方があり, 実際のFNABで中心的な役割を果たす病理医はこれらの知識の習得が必須である.

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