2005 年 44 巻 3 号 p. 161-167
目的:若年性子宮内膜癌患者の妊孕性温存療法時における内膜細胞診の有用性とその臨床的対応を明らかにすることを目的とした.
対象・方法:酢酸メドロキシプロゲステロン (MPA) と内膜全面掻爬による温存療法を施行した若年性子宮内膜癌12例中, 内膜細胞診・組織診を同時に施行した6例28回の検査時の細胞・病理学的変化と細胞診判定の正診率を検討した.
結果: いずれの症例もMPA投与により異型増殖症, 内膜増殖症を経て, 萎縮状内膜へと変化した. 同時に施行した内膜組織診の正診率は25/28 (89%) であった.
結論:若年性子宮内膜癌の診断・治療効果判定に, 細胞診判定のみによる対応では変性した複雑型内膜増殖症の誤判定があるものの, 内膜細胞診は大多数有用であった.