日本臨床細胞学会雑誌
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大腿部原発の骨外性粘液型軟骨肉腫の1例
梅澤 敬二階堂 孝春間 節子中島 研齋藤 歩増井 文昭山口 裕
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2005 年 44 巻 4 号 p. 255-258

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抄録

背景:軟部腫瘍に対しての穿刺吸引細胞診が積極的に施行され, 症例数も蓄積されつつある現在, 穿刺吸引細胞診の診断確定に寄与する役割は大きい. 今回, 骨外性粘液型軟骨肉腫の1例を経験したので細胞所見を中心に報告する.
症例:47歳, 男性. 画像診断上, 左大腿後面の筋肉内に発育する10×15cm大の多房性腫瘤で, MRIT1強調像で低信号, T2強調像で高信号を呈し粘液基質に豊富な肉腫が疑われた. 穿刺吸引細胞診では, 細線維状物質を含む粘液様物質を背景に円形から卵円形の腫瘍細胞の増殖を認めた. 出現パターンはpaircell, 小集塊状, 索状配列と多彩であった. 核/細胞質比は高く, クロマチンは細穎粒状, 核辺縁のしわやくびれが著しかった. 摘出腫瘍は組織学的に分葉状発育を呈し粘液様基質に豊富で, 腫瘍細胞が索状配列, 小集塊状に合胞体性に増殖していた. 免疫組織化学的に腫瘍細胞は抗S-100蛋白抗体と抗vimentin抗体陽性であった.
結論:細線維状物質を混在した粘液性背景に, 索状配列をはじめとする多彩な細胞の出現パターン, 核辺縁には, しわやくびれを認めることが細胞学的特徴と考えられた.

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