抄録
背景:悪性線維性組織球腫は軟部悪性腫瘍の約25%を占める最も頻度の高い軟部肉腫である. われわれは今回, 病理学的に炎症型悪性線維性組織球腫と診断された症例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
症例:50歳代, 男性. 主訴は左側腹部痛. 腹部超音波検査にて腹壁に最大径約30mmの腫瘤を認めた. 穿刺吸引細胞診では, 多数の大型の細胞が孤立散在性に出現していた. 個々の細胞は紡錘形細胞, 巨細胞, 多核細胞など多彩であり大小不同が強く, 淡い胞体と大型の核小体を有していた. 摘出腫瘍の組織は, 出血・壊死および炎症細胞浸潤を伴っており, 腫瘍細胞は特徴的な花むしろ様の配列を示していた. 免疫染色を行ったうえで, 炎症型悪性線維性組織球腫と最終的に診断された.
結論:細胞診で特徴的な細胞像をとらえることは重要であるが, 細胞所見からのみで本疾患を診断するには限界がある. やはり, 診断の確定には種々の臨床情報に加えて十分な材料で検討された病理組織診断情報を必要とすると考えられた.