日本臨床細胞学会雑誌
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肺原発の破骨細胞様巨細胞を伴う多形癌の1例
関 邦子石山 宮子横溝 香千葉 諭飯田 萬一
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2005 年 44 巻 6 号 p. 364-369

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抄録

背景:まれな腫瘍である破骨細胞様巨細胞 (osteoclast-like giant cell, 以下OGC) を伴った肺の多形癌を経験したので報告する.
症例:70歳, 男性. 血疾を主訴にCTで右肺に腫瘤を認め精査となった. 喀疾に変性異型細胞とOGCを認め, 針生検時細胞診では不整形腫大核をもつ異型細胞とOGCが認められ, 組織診では単核~多核細胞のびまん性増生がみられたが確定診断は困難であった. 腫瘤の増大が認められ右肺下葉摘出術が施行された. 手術材料からの細胞診では, 核形不整や多核化が顕著で多形性に富んだ異型細胞とOGCが多数混在して認められた. 組織診で多形性に富む肉腫様細胞の増生が腫瘍の主体を占め, 混合型腺癌が混在し, 広範な出血壊死を認めた. 肉腫様細胞に上皮マーカーが陽性であり, 多形癌に該当する腫瘍と考えた.
結論:肺多形癌はまれな腫瘍で, 細胞診での推定は困難なことが多いが, 判定困難な異型細胞とともにOGCを認めた場合, 肉腫様成分を伴う多形癌を考慮に入れて鏡検する必要があると思われた.

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