日本臨床細胞学会雑誌
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肉芽腫性乳腺炎の1例
赤松 節姫路 由香里長澤 優子山田 美弥子板垣 由香里筑後 千得子本間 慶一
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2006 年 45 巻 1 号 p. 32-34

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抄録

背景:乳腺穿刺細胞診にて肉芽腫性乳腺炎 (granulomatous mastitis, 以下GMと記す) を推定しえた症例を経験したので報告する.
症例:患者は38歳, 右乳房の腫脹, 発赤を主訴に来院.画像上, 右乳房皮膚の肥厚と乳腺濃度の上昇がみられたが, 明らかな腫瘤は認められなかった.しかし, 炎症性乳癌の疑いもあり穿刺吸引細胞診とneedle biopsyが行われた.穿刺吸引細胞診では, 多核白血球の多い炎症性背景に, 類上皮細胞と思われる紡錘形細胞集塊や多核の組織球が多く認められたが, 乳管上皮細胞は認められなかった.組織学的にはリンパ球, 組織球, 多核巨細胞による肉芽腫性病変がみられ, 病巣周囲の乳腺小葉にリンパ球の浸潤があることからGMと診断された.
結論:GMは臨床的に乳癌との鑑別が困難なまれな疾患であるが, ステロイド剤による治療が有効であることから, 穿刺吸引細胞診が有用であると思われた.

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