1998 年 12 巻 2 号 p. 45-58
要 旨
臨床でがん患者のPain Managementに携わる看護婦のうち,効果的なPain Managementを行う看護婦が疼痛緩和ケアを行う際に判断根拠としていることを明らかにすること,さらに疼痛緩和をもたらす看護婦とそうでない看護婦との相違を明らかにすることを目的として調査を行った.がん専門病院に入院中の患者3人とそのケアにあたった看護婦23人を調査対象とし,参与観察,自記式調査票およびインタビューにて患者の痛みの経時的変化,ケア内容とケア施行者,ケアの判断根拠に関するデータを収集し,看護記録の内容と併せて分析の対象とした.その結果,患者に疼痛緩和をもたらす看護ケアの判断根拠は「専門的知識」「患者のアセスメントによって得られた情報」「看護婦自身の経験」の3つに大別された.また疼痛緩和をもたらすケアを行った看護婦と行わなかった看護婦について知識テストを用いて比較したところ,前者は後者に比べ得点が有意に高かった(p<.01).本研究の結果からも,がん患者のPain Managementにおいて,ケアに携わる臨床看護婦が適切な知識を得ていることがいかに重要であるかが示唆された.