日本がん看護学会誌
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原著
乳房切除術と乳房温存術を受ける患者の術前・術後のストレス・コーピングとその比較
温井 由美
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2001 年 15 巻 1 号 p. 17-27

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抄録

要 旨

本研究は乳房切除術と乳房温存術を受ける患者の術前・術後のストレス・コーピングを明らかにした上で,両術式間のストレス・コーピングの類似点と相違点を明らかにすることを目的とした.

対象者は外来で病名告知を受け,入院してきた乳房切除術患者8名と乳房温存術患者16名の計24名であり,面接法と参加観察法で得られたデータを分析した.分析の結果,以下の知見か得られた.

1.術前・術後ストレスを両者で比較した結果,両者ともにがん告知後に『気持を整理することの困難・不安』を体験していた.そして,乳房切除術患者の方には,『親戚・近所』『乳房喪失』の不安が多くみられた.また,乳房温存術患者の方には,放射線などの治療に関する『退院後の治療の不安』術式選択時に相談できないとの『医療者への不満』が多くみられた.

2.術前・術後のコーピングを両者で比較した結果,乳房切除術患者の方には,乳房を切除することに対して『違う視点から見つめ直す』『あきらめる』『現実から回避する』方略が多くみられた. また,乳房温存術患者の方には,『情報を検索する』『具体的な解決策を考える』『自分を励ます』方略が多くみられた.

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2001 一般社団法人 日本がん看護学会
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