日本がん看護学会誌
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資料
看護婦が語るがん末期患者へのスピリチュアルケアの様相
新藤 悦子
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2001 年 15 巻 2 号 p. 82-91

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抄録

要 旨

本研究は,緩和ケア病棟に勤務する看護婦を対象に,看護場面においてスピリチュアルな問題に対してどのようなケアが用いられているのか調査し,そのケアの様相を明らかにする目的で行われた.データ収集法は半構成的面接法とし,質的帰納的分析法を用いて分析した.その結果,9名の看護婦によって18名の患者の事例が語られた.語られた患者のスピリチュアルペイン6つに対して行われた看護婦による対応をスピリチュアルケアとして捉え分類した結果,〈スピリチュアルな問題を認識する〉〈苦痛を緩和する〉〈そばにいる〉〈患者自身の力を支える〉〈患者と家族の架け橋になる〉〈自分自身を使う〉〈チームで関わる〉がみられた.看護婦は,患者が体験しているスピリチュアルな問いを読み取り,それに対して従来の看護のスキルを用いてケアを実践していた.さらに特定の既成宗教を信仰していない患者に対して特定の宗教を持たない看護婦による〈超越的な存在を認める〉〈死後の世界に希望を託す〉ケアが抽出された.

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2001 一般社団法人 日本がん看護学会
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