日本がん看護学会誌
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原著
初めて病名告知を受けて治療に臨む壮年期がん患者の認知評価とその変化
鈴木 久美小松 浩子
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2002 年 16 巻 1 号 p. 17-27

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抄録

要 旨

本研究の目的は,初めて病名告知を受けて治療に臨む壮年期がん患者が告知されたことをどのように認知評価し,それがどのように変化するのかを明らかにすることである.方法は,告知を受けた30歳から65歳までの壮年期がん患者13名を対象に面接を行った.その結果,がん患者の認知評価について【脅威的ながんによる衝撃】【運命的ながんとの直面】という2種類のがんについての心的表象が抽出された.【脅威的ながんによる衝撃】とがんの脅威に圧倒され,自己の存在が脅かされると捉えた者は,告知時に[がんに圧倒される][がんであることが信じがたい]とがんである自分の状況を評価したが,時間の経過に従い[がんを直視できない][がんにとらわれる][自分の存在が不確か]と変化した.また,がんについての身近な人の良い体験や医師の良い情報により[自分の存在の確かめ]と自己存在の確かさを実感した肯定的な評価に変化した者も数人いた.【運命的ながんとの直面】とがんを親から引き継いだ宿命あるいは自然の摂理という運命的なものとして捉えた者は,[がんの宿命から逃れられない][がんは宿命だ][がんは身体の綻び]と評価していた.以上の結果から,告知前は患者が過去にどのようながんの体験をして告知に臨んでいるかを把握し,告知後はがんになったことをどのように捉えているのかを語る場をつくり,自分の病気について適切な認知を促す援助が必要であることが示唆された.

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2002 一般社団法人 日本がん看護学会
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