要 旨
本研究の目的は,終末期がん患者が抱く希望,および希望が変化する状況を明らかにし,終末期がん患者が生きる力となるような希望を抱くための看護介入のあり方を検討することである.7名の終末期がん患者を対象に,希望に関する内容について,参加観察法,面接法によって調査し,質的分析を行い,以下を明らかにした.
終末期がん患者は,ほぼ全経過において複数の希望を表出しており,表出された希望は時間の推移と共に希望の内容や,成り行きに関わる認知や感情,行動が変化していた.終末期がん患者の抱く希望は最終的に,「思いのままに生きる」「家族とのつながりの中で生きる」「他者とつながっている」などの12の希望にまとめられた.さらに,得られた希望に含まれる意味内容から,1)自由で自立した自己,2)家族愛,3)社会的自己,4)生きざま,5)安寧,6)回復意欲,7)元の自分,8)自己の存在,9)他力志向,10)信仰心,11)生かされる自己,の11の希望の本質が抽出された.
希望の本質は,終末期がん患者にとって生きる力となる希望の源であると考える.終末期がん患者が最期まで生きる力となるような希望を抱くための看護目標とは,患者が希望の本質を保持し希望を芽生えさせることができるような環境を整えること,希望のプロセスに関わり患者の希望を支え育むような働きかけをすることである.