抄録
情動的にショッキングなできごとに遭遇した場合のエピソード記憶、いわば、トラウマ記憶は、時間的な流れを含んだ形態で想起されるのでなく、一枚の写真のような形態で想起されるということがしばしば指摘されている。記憶のスナップショット化、あるいはフラグメント化といわれる現象である。しかし、トラウマ体験の記憶が本当にスナップショット化するのか、あるいは、被験者や出来事のどのような特性がスナップショット化と関連するのかについてはいまのところ、明らかになっていない。そこで、本研究では、エピソード記憶のスナップショット化尺度を作成するとともに、実験協力者にショッキングな短編フィルムを視聴させ、その記憶のスナップショット化の程度と情動喚起の程度について検討してみた。