2005 年 19 巻 1 号 p. 22-32
要 旨
本研究は,末梢皮膚血流量が乳がん術後のリンパ浮腫重症度を予測しうるかその指標的有効性を検討することを目的に実施した.女性乳がん患者61名と健康な女性35名を被験者として,血流計を用いた末梢皮膚血流量測定を実施し,リンパ浮腫の有無と重症度で検討した.その結果,リンパ浮腫患者の血流量は健康な女性よりも少なく,右乳がん患者においては,浮腫患者が非浮腫患者より少なく,左乳がん患者では浮腫患者は非浮腫患者より多い血流量を示した.また,浮腫の重症度が増すとともに左右の血流量差が大きくなり,浮腫中等症患者における左右の血流量差は,左乳がん患者が右乳がん患者の2倍の値を示すことが確認された.これらの結果から,左右の血流量差がリンパ浮腫の重症度を判断するうえで,指標の一つとなる可能性とともに,異なる血流量差を認めたことから,手術側別に観察基準の作成および介入方法を変える必要があることが示唆された.