2005 年 19 巻 1 号 p. 33-42
要 旨
本研究は,がんの再発・転移を告知され,永久的ストーマを造設し,不安や悩みをもつ7名の患者とWOC看護認定看護師との間でナラティヴ・アプローチを試み,双方の新たな思考形成にどのように役立つかを明らかにすることを目的とした.研究デザインは,患者のナラティヴとそれを聴いた看護師の自己内省ジャーナルに基づいた質的研究であり,研究と看護実践を結びつけた実践的看護研究である.
患者の看護師への語り(ナラティヴ)は,がんを告知された時の衝撃から始まり,やがてストーマを造設したことに意味を与え,自分の人生の新しい側面からがん体験の中に意味を見いだした.また,これを実践した看護師は,患者にとってのストーマがもつ意味の理解が拡がるとともに新たな側面を発見し,がん体験を通して成長・発展していく人間の可能性が納得できた.ナラティヴ・アプローチは,患者と看護師の相互作用の中で双方の成長と発展を助ける看護介入として,実践への導入が可能であることの示唆を得た.