日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
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研究報告
外来化学療法を受けている患者のQOLに影響を及ぼす要因
光井 綾子山内 栄子陶山 啓子
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キーワード: QOL, 外来化学療法, がん患者
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2009 年 23 巻 2 号 p. 13-22

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抄録

要 旨

本研究の目的は,外来化学療法を受けている患者のQOLに影響を及ぼす要因を明らかにし,患者のQOLを維持・向上できるような看護援助について検討することである.外来化学療法を受けている患者を対象にアンケート調査を実施し,95名から有効回答を得た.調査内容は,属性,身体的要因として副作用の程度,社会的要因として外出状況,地域の人々や友人・親戚といった他者との交流状況,仕事や家での用事や役割の遂行状況,サポート状況,心理的要因として外来化学療法に対する経済的負担,時間的負担,外来で治療を受けながら生活することへの不安およびQOLとした.QOLの測定にはFACT―G(日本語版)を使用した.QOLと有意な関係が認められた悪心,下痢,他者との交流,役割遂行,医療従事者の相談,外来治療生活への不安の6項目を独立変数,QOLを従属変数とし,重回帰分析を行った.その結果,外来化学療法を受けている患者のQOLに関連が認められたのは,他者との交流,役割の遂行,そして外来での治療生活に対する不安であった.他者との交流や役割の遂行が行えているものほどQOLが高かった.また,外来での治療生活に対する不安が少ないものほどQOLが高かった.このことから,看護者として,患者の身体面に加え,社会面や心理面にも着目し,援助していくことの重要性が示唆された.

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2009 一般社団法人 日本がん看護学会
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