要 旨
【目的】本研究は,胃がん術後患者の配偶者のQOLに対するソーシャル・サポートの影響を明らかにすることを目的とした.
【方法】某大学病院の外来を受診した胃がん術後患者のうち病名を理解し再発のない人の配偶者を対象とし質問紙調査を実施した.主な調査項目は,QOLの指標であるSF-36v2日本語版,ソーシャル・サポートとした.分析では,ソーシャル・サポート尺度構成の後,SF-36v2を目的変数,ソーシャル・サポート,医学的変数,人口統計学的変数を説明変数とした重回帰分析を行った.
【結果】82名の配偶者へ質問紙を配布し,50名(61.0%)より有効回答を得た.平均年齢は65.3±10.4歳であった.重回帰分析の結果,精神的健康を目的変数としたモデル(R2=0.175,p=0.027)において,配偶者から受け取るサポートに有意な正の影響(β=0.383,p=0.014),併存症を有することに負の影響がある傾向が見出された(β=-0.254,p=0.092).同様に精神的健康を目的変数としたモデル(R2=0.114,p=0.091)において,家族から受け取るサポートに有意な正の影響(β=0.303,p=0.013),併存症を有することに負の影響がある傾向が示された(β=-0.291,p=0.064).
【結論】胃がん術後患者の配偶者のQOLは,患者より提供されるサポートにより高められることが示唆された.看護師は,胃がん術後患者のみならずその配偶者の精神的健康を改善させるために,両者の関係を良好にする役割を担うことが重要である.
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