日本がん看護学会誌
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研究報告
在宅で生活する終末期がん患者と家族の“家族の絆”
山手 美和
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キーワード: 在宅, 終末期, 家族,
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2010 年 24 巻 1 号 p. 44-51

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抄録

要 旨

本研究の目的は,在宅で生活する終末期がん患者とその家族の”家族の絆”について記述することである.研究協力者は在宅で終末期がん患者と生活する家族6名であった.データ収集は半構成面接ガイドを用いて面接法にて行い,質的帰納的に分析した.結果,【もう治らないという現実に向き合う生活】には,《変わりゆく患者の姿を受け止める》,《がん患者のやりきれない苦悩を受け止める》,《家族としての関係性の終わりを感じる》,《死にゆく患者を大切に思う》,《家族としての生きた証を感じる》,《最期まで共にいる》の6カテゴリーが抽出された.【家族固有の文化を刻む家族の方略】は,《家族らしいペースで生活する》,《がん患者が家族に託す思いを未来につなげる》,《がん患者が亡くなった後の生活を見通す》の3つのカテゴリーが抽出された.終末期を住み慣れた“家”で生活しているがん患者とその家族は,残された日々の中で家族として歴史を振り返り,家族として共に存在した証や家族固有のものを未来につなげようとしていた.

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2010 一般社団法人 日本がん看護学会
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