日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
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原著
造血器腫瘍患者のギアチェンジを支える看護師の構え
渡邉 美奈藤田 佐和
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2015 年 29 巻 3 号 p. 7-17

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抄録

要 旨 本研究は,造血器腫瘍患者のギアチェンジを支える看護師の構えを明らかにし,看護の示唆を得ることを目的とした.がん看護領域で5 年以上,造血器腫瘍患者のケアに携わった3 年以上の臨床経験のある看護師9 名を対象に半構成的面接を行い,データを質的帰納的に分析した.その結果,造血器腫瘍患者のギアチェンジを支える看護師の構えにおける認識として,【患者・家族が生死と向き合う有り様】【患者・家族の悲愴な思いの存在】【患者を混迷させる緩和治療】【家族の存在意義】【患者・看護師関係の重要性】【望ましい最期の実現に向けた決意】【ギアチェンジを支えられないもどかしさ】,行動として,【人生の岐路に関わる覚悟を固める】【生き方の決断過程にタイミングよく働きかける】【ギアチェンジに向き合う力を引き出す】【その人らしい生き方を支える】【その人らしく生きる策を医療者で探索する】【パートナーシップを築く】【ギアチェンジを支える準備性を高める】のそれぞれ7 の大カテゴリーが抽出された.看護師は,ギアチェンジ期の造血器腫瘍患者の状況を掴み,その状況を踏まえて生じた看護師の肯定的な考えと否定的な感情を原動力として,患者の人生の岐路に関わる覚悟を固め,患者自身が生き方を決断できるように,患者の力の発揮を促したり患者の力を発揮しやすい環境を整えたりして,ギアチェンジを支えると考えられた.

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