日本がん看護学会誌
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原著
がん薬物療法に起因する脱毛が発現した成人男性患者の 職場復帰時の感情・考え・対処
小西 玲奈秋元 典子
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2016 年 30 巻 1 号 p. 64-72

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抄録

要 旨 本研究の目的は,がん薬物療法に起因する脱毛が発現した成人男性患者の職場復帰時の感情,考え,対処を明らかにし,必要な看護実践について検討することである。脱毛したまま職場復帰した成人男性患者6 名に,半構造化面接を実施し,Krippendorff の内容分析の手法を用いて分析した結果,【自然な姿ではないことの恥ずかしさ】【就業に脱毛は無関係】【脱毛対処行動決定要因は自分と他者との関係性】【自己イメージ回復への切望】【他者への配慮としての脱毛カムフラージュ】の5 大表題に類型化された。このうち,【自然な姿ではないことの恥かしさ】および【他者への配慮としての脱毛カムフラージュ】は,先行研究結果とは異なる新しい知見であった。看護実践として,かつら装着や眉を描くという対処を選択しようと考えている患者には,職場復帰までに物品の準備とコントロール感覚を掴めるような実践トレーニングが必要であること,かつら装着の健康上の意義を強調すること,患者のわずかの再発毛であっても肯定すること,などの支援の必要性が示唆された。

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2016 一般社団法人 日本がん看護学会
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