2017 年 31 巻 論文ID: 31_hiasa_20170113
要 旨
本研究の目的は,外部照射による放射線療法を受けるがん患者に対するがん放射線療法看護の質評価指標を開発することである.
文献検討に基づき,がん放射線療法看護の質評価指標原案を作成し,専門家パネルによる質的な内容妥当性の検討から原案を修正した.さらに,全国のがん放射線療法看護認定看護師128 名に項目の関連性と重要性に関する質問紙調査を実施し,Item-level
Content Validity Index(以下,I―CVI),Scale’s Content Validity Index(以下,S―CVI/Ave)
から量的に内容的妥当性を検討した.
その結果,外部照射におけるがん放射線療法看護の質評価指標は【治療選択に関する意思決定支援】【安全・安楽な治療の提供】【セルフケアを高める支援】【がんと共に自分らしく生きる支援】の4 の構成要素,15 の上位項目,62 項目で構成された.すべての項目が採用基準である0.78 以上のI―CVI をもち,上位項目,構成要素,質評価指標全体のいずれも0.90 以上のS―CVI/Ave を確保した.十分な内容的妥当性を備えたがん放射線療法看護の質評価指標を開発した.
質評価指標は,適切な目的に向け意図的にケアを実践しているかを自己評価でき,問題を改善するための適切な目標設定につながる.さらに,看護師の育成に向けた教育的ツールとして活用することで,教育体制の整備や具体的な教育支援の実現が期待される.